
こんにちは!ラグジュアリー・アイウェア、運営者の「カトラー」です。
お気に入りの一本を見つけて毎日愛用していると、ふと気になりませんか。
「この眼鏡、いつまで使えるんだろう?」って。特に愛着があるフレームや、少し奮発して買ったブランドものの眼鏡だと、ノーズパッドが少し黄ばんできたり、テンプルが緩んできたりしても、なかなか手放す決心がつかないものですよね。
私自身、1950年代のヴィンテージフレームを何度も修理しながら大切に使っているものもあれば、逆にトレンド重視で買った安価なフレームが数年で役目を終えてしまった経験もあります。一般的に眼鏡の買い替え時や平均的な寿命はどれくらいなのか、素材によって耐久性に違いはあるのか、高い修理費を払ってでも使い続ける価値はあるのかなど、知っておきたい「引き際」と「延命措置」の境界線は意外と曖昧です。
今回は、そんな皆さんの疑問を解消するために、膨大なリサーチデータと私自身の経験をもとに、フレームの寿命に関する情報を徹底的に整理してみました。
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記事のポイントを先読み!
- 素材ごとの平均的な寿命と耐久性の決定的な違いについて理解できる
- 買い替えを検討すべき「機能的寿命」と「審美的寿命」のサインがわかる
- 高い眼鏡(鯖江製など)と安い眼鏡の寿命や修理経済性の違いを把握できる
- 寿命を劇的に延ばすための正しいメンテナンス方法と、最終的な捨て方を知れる
素材別に見る眼鏡フレームの寿命と特徴

眼鏡と一口に言っても、使われている素材は本当に様々ですよね。実は「眼鏡フレームの寿命」って、デザインよりも何よりも、この「素材選び」で大半が決まってしまうと言っても過言ではありません。
見た目だけでは分からない、素材ごとの「化学的な寿命」や「物理的な耐久性」。ここでは、代表的な素材ごとの劣化メカニズムや特徴、そして価格帯による耐久性の違いについて、私の視点で深掘りしていきます。
一般的な平均寿命と買い替え時

まず、皆さんが一番気になる「結局、何年持つの?」という点ですが、業界の一般論としては2年から10年程度と言われています。
「2年と10年じゃ全然違うじゃないか!」と思われたかもしれません。しかし、この大きな開きは、決して製品の当たり外れだけではありません。
使用者の「汗の成分(酸性が強いかアルカリ性が強いか)」や「使用環境(海辺か、多湿か)」、そして何より「日々のメンテナンスの頻度」に大きく依存するからです。
毎日ハードに使い倒してケアを怠れば最高級品でも2年でボロボロになりますし、複数の眼鏡をローテーションして丁寧に扱えば、一般的なフレームでも10年以上持つことは決して珍しくありません。
レンズの寿命はフレームより短いという事実
ここで一つ注意したいのが、フレームよりも先にレンズが寿命を迎えるケースが圧倒的に多いという点です。現在主流のプラスチックレンズの寿命は、コーティングの劣化や紫外線による黄変(黄ばみ)などを考慮すると、おおよそ2年から4年が目安となります。
「フレームはまだピカピカだけど、なんとなく視界が白っぽく見えにくい」という状態は、実は眼鏡全体の買い替え時、もしくはレンズ交換のタイミングを知らせる重要なシグナルなんです。
買い替えを検討すべきタイミングの目安
- レンズの度数が合わなくなり、視力が出ないと感じた時(無理に使うと眼精疲労や頭痛の原因になります)
- フレームの変形や歪みがひどく、お店でのフィッティング調整でも直らない時(金属疲労の限界)
- メッキ剥がれによる金属アレルギーの懸念や、素材の劣化(白化・ひび割れ)が見た目にも明らかになった時
「まだ物理的に壊れていないから」と無理して合わない眼鏡をかけ続けるのは、目の健康にとって良くありません。「ちょっと見えにくいかも?」と感じたり、「かけ心地が悪くなってきたな」と思ったら、それが眼鏡からのSOSだと思ってくださいね。
プラスチックや金属など素材の違い

フレームの素材は大きく分けて「プラスチック(樹脂)」と「メタル(金属)」がありますが、それぞれの寿命の迎え方、つまり「老い方」は全く違います。ここを知っておくだけで、次はどのフレームを選ぶべきかの基準になりますよ。
プラスチックフレーム:乾燥とひび割れの宿命
まずプラスチックフレーム。
代表的な素材であるアセテートは、綿花などを原料とする植物由来素材です。肌触りが良く、温かみのある色柄が魅力ですが、吸湿性があるため、長く使っていると素材に含まれる「可塑剤(かそざい)」という柔軟成分が揮発して抜けていきます。
これが進むと、フレーム自体が収縮し、表面がカサカサになって白い粉を吹いたような状態になります。
これを「白化(はっか)」と呼びます。人間でいうひどい肌荒れのようなものですね。こうなると素材の粘りがなくなり、ちょっとした衝撃で「ポキッ」と折れやすくなってしまいます。
また、最近の低価格帯でよく見る軽量素材のTR-90やウルテムといった機能性樹脂。
これらは熱に強くて驚くほど軽いのが魅力ですが、素材の性質上、一度折れると溶剤での接着や研磨などの修理がほとんどできません。「寿命=破損=即廃棄」という、ある意味で割り切ったデジタルな寿命を持つ素材と言えます。
メタルフレーム:腐食とメッキ剥げとの戦い
一方のメタルフレーム。
ここでの主役はなんといってもチタンです。チタンは汗(酸や塩分)で錆びることがほぼないので、理論上は半永久的に腐食しません。
特に「イオンプレーティング(IP)」という宇宙開発でも使われる特殊な表面処理がされたものは、メッキ強度も最強クラスで、傷にも非常に強いです。
逆に、安価なフレームに使われる「合金素材(ニッケル合金、洋白など)」だと、汗と反応して緑色の錆(緑青:ろくしょう)が出てしまい、そこから腐食して丁番がポロリと折れることがあります。長く、清潔に10年使いたいなら、迷わずチタン製を選ぶのが正解ですね。
セルロイドの取り扱い注意点
ヴィンテージ感のある「セルロイド」は、硬くて美しい深みのある艶が魅力ですが、実は紫外線やアルコールに非常に弱いです。昨今の必需品であるアルコール除菌シートで拭くと、化学反応で一発で白化したり、表面にマイクロクラック(微細なひび)が入ったりすることもあるので、お手入れには細心の注意が必要ですよ。
高い眼鏡と安い眼鏡の耐久性比較

「高い眼鏡(3万円〜)と安い眼鏡(5千円〜)、寿命にそんなに違いはあるの?」という質問、本当によく受けます。結論から言うと、耐久性と修理の可能性(メンテナンス性)において、構造レベルで大きな差があります。
安い眼鏡の構造的限界
セットプライスで買える安価な眼鏡の多くは、コストを抑えるために金型にドロドロに溶かした樹脂を流し込む「射出成形(インジェクション)」で作られています。
この製法のフレームは、鼻パッドや丁番などのパーツがフレームと一体化していたり、特殊な構造だったりするため、壊れたらパーツ交換ができず、丸ごと買い替えになるケースがほとんどです。つまり「使い捨て」に近い設計思想なんですね。
高い眼鏡の修理前提の設計
対して、鯖江製などの高価な眼鏡は、素材自体の純度が高いのはもちろん、各パーツが「分解・修理」できるように作られています。
例えば丁番(ヒンジ)部分。「カシメ丁番」や「埋め込み丁番」といった伝統的な製法なら、金属パーツが緩んだり摩耗したりしても、職人さんが叩き直して締め直したり、パーツを交換して再度埋め直したりすることが可能です。
また、高い眼鏡店はフィッティング技術が高いのもポイント。個人の骨格に合わせて正しく調整されるので、フレームに無駄な負荷(テンション)がかからず、結果的に金属疲労が起きにくく長持ちするんです。
JINSやZoffの保証期間と品質

大手チェーン店の保証期間を見ることで、メーカーがその製品に対して想定している「故障せず使える期間(最低限の寿命)」や「品質への自信」を垣間見ることができます。あくまで目安ですが、比較してみましょう。
| ブランド | フレーム保証期間 | 特徴・スタンス |
|---|---|---|
| JINS | 6ヶ月 | 初期不良対応がメインの印象。トレンドに合わせた早いサイクルの買い替えを想定か。 |
| Zoff | 1年 | 商品により異なるが概ね1年。標準的な品質保証期間。 |
| OWNDAYS | 1年 | 通常使用での破損に加え、自損でも対応する場合があるなど保証内容が手厚い。 |
| 眼鏡市場・パリミキ | 1年 | 品質保証として1年が一般的。アフターケアを重視した長期使用を前提としている。 |
JINSの6ヶ月保証は、ファッションアイテムとして洋服のように季節ごとに買い替えるような楽しみ方を提案しているからこその設定かもしれませんね。一方で、もし仕事で毎日使い倒すような耐久性を最優先したいなら、保証内容が手厚いブランドや製品ラインを選ぶのも、一つのリスクヘッジになるかなと思います。
寿命を知らせる劣化のサイン

フレームが悲鳴を上げているサイン、見逃していませんか? 以下のような症状が出たら、メンテナンスで直る段階を超えて、そろそろ寿命が近い証拠です。
- プラスチックの白化・ひび割れ: 表面がカサカサして白く濁る現象です。磨いてもすぐに戻る、あるいは内部に亀裂(クラック)が見えるようなら、素材自体の寿命です。突然折れる前に交換を検討しましょう。
- 緑青(ろくしょう): 鼻パッドの金具や丁番の隙間に、緑色のカビのような錆が出る現象です。これは内部腐食が進んでいる証拠。ネジが錆び付いて取れなくなったり、金属疲労で折れたりする可能性大です。
- ネジがすぐに緩む: 何度ドライバーで締めても、数日でテンプルがパタパタする場合、ネジ穴そのものが広がっているか、摩擦を調整する座金(ワッシャー)が完全に摩耗しています。
- メッキ剥がれ・浮き: 表面の塗装がプクッと浮いてきたり、剥がれて地金が見えたりすると、そこから腐食が加速します。何より、露出した金属(特にニッケルを含む場合)は金属アレルギーの原因になるので注意が必要です。
眼鏡フレームの寿命を延ばす方法と処分

ここからは、少しでも長く愛用するためのメンテナンス方法と、いよいよお別れする時の正しい処分方法についてお話しします。日々のちょっとした習慣を変えるだけで、寿命はグンと延びます。
寿命を縮めるNGな洗い方と扱い

皆さんが良かれと思ってやっていることの中にも、実は寿命を縮めるNG行為があるんです。一番多いのが、お風呂に入ったついでに眼鏡も一緒に洗ってしまう行為です。
まず、一般的な石鹸やボディソープ、ハンドソープは、弱アルカリ性や酸性の成分、あるいは保湿オイルを含んでいることが多いです。
これらはレンズのコーティング膜を化学的に分解して剥がしてしまったり、プラスチックフレームの油分を奪って劣化を早めたりする大敵です。
そして「お湯」も絶対にNGです。プラスチックレンズやフレームは、60度くらいの熱で膨張・変形を始めます。しかし、レンズの表面にあるマルチコーティングは金属質で伸び縮みしないため、レンズ基材の膨張についていけず、ピキピキとひび割れてしまいます。
これを「熱クラック(クラック)」と言います。サウナへの持ち込みなんて、眼鏡にとっては拷問に近い行為なんですよ。
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これは絶対にNG!眼鏡を痛める4つの行動
- 石鹸・ハンドソープでの洗浄: アルカリ性成分がコーティングを破壊します。
- お湯洗い・サウナ・車内放置: 熱による変形とコーティングのひび割れ(熱クラック)を招きます。
- 片手での掛け外し: 片方のテンプルにだけ外側への負荷がかかり、フレームが歪んで広がります。
- 整髪料・化粧品の付着放置: プラスチック素材の化学劣化を加速させます。
では、どうすればいいのか? 正解は「水で汗やホコリを流して、薄めた台所用中性洗剤で指の腹を使って優しく洗い、水ですすいでからティッシュで水気を吸い取る」です。これを徹底するだけで、持ちは全然違ってきますよ。
(出典:HOYAビジョンケアカンパニー『メガネのお手入れ』)
白化やメッキ剥がれの修理可否

お気に入りのフレームが白くなったりメッキが剥げたりした場合、修理できるかどうかが気になりますよね。
プラスチックの「磨き」
アセテートフレームの白化は、表面をバフと呼ばれる機械で研磨(ポリッシング)することである程度ツヤを取り戻せます。専門店に依頼すれば、新品同様の輝きが戻ることもあります。
ただし、これはあくまで劣化した表面を一皮削り落としているだけなので、素材は少しずつ薄くなりますし、強度そのものが回復するわけではありません。「最後の延命措置」と考えるのが良いでしょう。
メタルの「再メッキ」
メッキ剥がれについては「再メッキ」という修理が可能です。しかし、これには一度レンズやプラスチックパーツを全て分解し、古いメッキを完全に剥離して下地処理をし、再度メッキをかけるという、製造工程に近い大掛かりな作業が必要です。費用も期間もそれなりにかかります。「愛着」と「コスト」の天秤にかける必要がありますね。
レンズ交換とフレームの限界関係

「フレームは気に入ってるから、度数が変わったレンズだけ交換したい」というケース、よくありますよね。でも、お店で断られることも意外と多いんです。
これは意地悪ではなく、フレームがレンズ交換の負荷に耐えられない可能性が高いからです。レンズをフレームにはめ込む時って、実はフレームに結構な物理的圧力がかかるんです。経年劣化で水分(可塑剤)が抜けて乾燥したプラスチックフレームだと、レンズを外そうとした瞬間や、新しいレンズを入れようとした瞬間に「パキッ」とリムが割れてしまうリスクがあります。
特に2〜3年以上経過したプラスチックフレームでのレンズ交換は、お店側も非常に慎重になりますし、「万が一破損しても保証できません」という承諾書へのサインを求められることが一般的ですね。
破損した時の修理費用と経済性

修理にかかる費用と、新品を買う費用。このバランスを考えるのが「経済的寿命」の判断基準です。ざっくりとした相場観を知っておきましょう。
| 修理内容 | 費用目安 | 判断基準 |
|---|---|---|
| ネジ締め・型直し | 無料〜1,000円 | メンテナンスの範囲内。定期的に行うべき。 |
| ナイロール糸交換 | 500円〜1,000円 | 糸は消耗品。レンズが落ちる前に年1回は交換を推奨。 |
| ロー付け(溶接) | 4,000円〜 | 再メッキなしだと溶接跡が黒く残る。見た目を気にするなら高額に。 |
| 再メッキ(全体) | 5,000円〜15,000円 | 新品価格の半額を超えるなら買い替え推奨。 |
| 丁番埋め込み修理 | 5,000円〜 | 高価なフレームなら価値あり。安価なフレームなら買い替えが合理的。 |
例えば、1万円以下で購入したフレームの修理に5,000円かけるのは、正直あまり経済的とは言えませんよね。逆に、3万円以上した鯖江製のフレームやハイブランドの眼鏡なら、修理して使い続ける価値は十分にあると思います。単なる道具として見るか、資産価値のあるアイテムとして見るかで判断が変わってきます。
自治体での眼鏡の捨て方と分別

残念ながら寿命を迎えてしまった眼鏡、どうやって捨てればいいのでしょうか。これは住んでいる地域の自治体ルールによりますが、基本的には「燃えないゴミ(不燃ごみ)」になることが多いです。
ただ、最近はゴミの分別が厳しくなっているので、環境への配慮としても理想は「レンズとフレームを分ける」ことです。
- 金属フレーム: 小さな金属類、不燃ゴミ
- プラスチックフレーム: 可燃ゴミ(地域による)、プラスチック資源
- レンズ: プラスチックなら可燃ゴミ、ガラスなら不燃ゴミ
自分で精密ドライバーを使って分解するのが難しい場合は、そのまま「不燃ゴミ」として出せる地域も多いので、必ず自治体のHP等で確認してください。
一番おすすめなのは、眼鏡店の店頭回収(リサイクル)を利用することです。JINSなどの大手チェーン店では、自社・他社製品問わず不要な眼鏡を回収するリサイクルボックスを設置していることがあります。これなら分別を気にせずボックスに入れるだけで、サーマルリサイクルなどで資源として再利用してもらえるので、エコで楽ちんですよ。
眼鏡フレームの寿命に関するまとめ
眼鏡フレームの寿命について、素材の特性からメンテナンス、そして処分の方法まで詳しくお話ししてきました。眼鏡は単なる視力矯正器具ではなく、毎日顔に乗せる大切なパートナーです。「2年〜10年」という寿命の幅は、どれだけ愛情を持って接したかの通信簿みたいなものかもしれませんね。
最後に、今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- 眼鏡フレームの寿命は素材と扱いで決まるが、平均は2〜10年程度。
- プラスチックは「白化」、メタルは「緑青・メッキ剥げ」が寿命のサイン。
- 高い眼鏡は修理して長く使える設計だが、安い眼鏡は買い替えサイクルが早い。
- 寿命を縮める最大要因は「お湯洗い」「石鹸」「片手外し」。これをやめるだけで長持ちする。
- 処分する際は自治体のルール確認か、店頭のリサイクル回収を活用するのがベスト。
正しい知識でメンテナンスをして、少しでも長く、快適なアイウェアライフを楽しんでくださいね。それでは!




